硝子体手術とは
水晶体の奥にあり、眼球のほとんどを占めるゼリー状の組織を「硝子体」と言います。
硝子体は、さまざまな原因によって、濁ったり、出血が溜まったりします。
また、網膜が引っ張られ、穴があいたり、異常な膜を形成することもあります。
硝子体手術とは、濁り・出血を除去する、形成された膜を剥がす、網膜を復位させるといったことで、上記のような病態を改善したり、進行を抑制したりする手術です。
硝子体手術は、眼科で行われる手術の中でも特に高度な手術となりますが、近年は器具・手技の進歩により、日帰りでの実施が可能になっています。
手術の方法
硝子体手術は、白目の部分に小さな穴を3カ所あけ、25G(約0.5mm)または27G(約0.4mm)の器具を挿して実施します。
挿入する器具には、硝子体カッター、鑷子(せっし)、ライト、レーザー装置などがあります。
目の状態によって、行われる処置はさまざまで、手術の所要時間も30~90分と幅があります。
重症例で手術時間が数時間かかることが予想される場合は、全身麻酔を選択することもあります。
当院、院長は白内障手術および網膜硝子体手術を専門とし、これまでに10,000例を超える手術経験を積んでまいりました。
様々な症例に対応してきた豊富な実績がございますので、安心してお任せ下さい。
適応疾患
- 黄斑上膜
- 黄斑円孔
- 網膜剥離
- 硝子体出血
- 黄斑下出血
- 増殖糖尿病網膜症
- 増殖硝子体網膜症
- 網膜静脈閉塞症
- 眼内炎
- 水晶体核落下 など
手術の流れ
1精密検査
術式を選択したり、安全に手術を行えることを確かめるため、精密検査を行います。
糖尿病、高血圧症などがある方は、内科の先生とも連携し、慎重に判断します。
硝子体手術の適応となり、その説明についてご理解・ご同意が得られましたら、手術日を決定します。
2手術3日前から点眼
感染予防のため、抗菌剤の点眼薬を処方します。手術の3日前から、点眼を行ってください。
3当日
手術当日は、時間に余裕を持ってお越しください。食事は普段通り摂ってくださって構いません。
ただし、手術後は車などの運転ができませんので、公共交通機関を使ってご来院ください。
準備が整いましたら、硝子体手術を実施します。
術後は院内でゆっくりとお休みいただき、患部・全身の状態を確認した上で、ご帰宅となります。
4術後の検診
手術翌日、また以降も定期的に、経過観察のためにご来院いただきます。
万が一、ご自宅で異常を感じた時には、すぐに当院にご連絡ください。
飲酒や激しい運動、遠出などの制限については、原因疾患や術式によって異なります。医師の指示をお守りくださいますよう、お願いします。
患者様の目の状態によって異なりますが、術後1~3ヶ月ほどは、点眼治療を継続します。
手術後の見え方
硝子体手術後、すぐによく見えるということはありません。視力の回復には時間がかかります。
特に黄斑部の疾患が原因となっていた場合には、見え方が良くなるまで1~3ヶ月ほどかかるとお考えください。
また、術前の黄斑部のダメージが大きい場合には、ゆがみ、視力低下が残ることがあります。
手術後どのように見えるかは、患者様がもっとも気にされることかと思います。
患者様ごとに、期待できる回復の具合、回復までにかかる期間について、事前に目安をお伝えいたします。
注意事項
- 手術後は、1週間ほど車・バイク・自転車などの運転ができません。ご来院の際にも、公共交通機関をご利用くださいますよう、お願いします。
- 通常の硝子体手術の所要時間は、30~90分ほどが目安となります。
- 硝子体手術と白内障手術を同時に行うことがあります。その場合は、白内障の精密検査も必要です。
- 糖尿病や高血圧症などの持病がある方や、抗凝固薬内服の方は必ず事前にお申し出ください。また、お薬手帳をお持ちください。
- 手術後の視力の回復の程度、回復までにかかる期間は、疾患によって異なります。
- 網膜剥離がある場合などは、手術の最後に空気やガス、シリコンオイルを注入し、1~2週間、うつむいた姿勢を維持していただく必要があります。